充電ステーションに関して、ネット上で広く信じられているものの、現場の実態とは乖離している代表的な誤解が2つ存在します。
誤解1:「150kW対応ステーションなら、どのEVでも瞬時に充電できる」
多くの人が陥る最大の誤解がこれです。「充電器の出力=充電されるスピード」ではありません。充電速度は、ステーション側の最大出力と、車両側の最大受入能力(受入許容電力)の「どちらか低い方」で頭打ちになります。 たとえば、軽EVや初期型の小型EVの多くは、安全面とコストの観点から受入能力が30kW〜50kW程度に設計されています。そうした車両を150kWの最新鋭ステーションに繋いでも、供給される電力は30kW〜50kWにとどまります。超高速充電の恩恵をフルに享受できるのは、800Vシステムや大容量バッテリー受入設計を備えた一部の最新プレミアムモデルに限られているのが現実です。
誤解2:「公共の急速充電ステーションだけで運用するのが最も経済的である」
「自宅に充電設備をつけず、街中の急速充電ステーションだけでEVを維持する」という選択は、運用コストと時間の両面で大きな落とし穴を孕んでいます。 昨今の電気料金高騰と高出力器の設備維持費に伴い、公共急速充電の従量単価は上昇傾向にあります。1kWhあたりの単価を比較すると、深夜の自宅電力プランであれば約15〜25円程度で済むのに対し、街中の高出力急速ステーションでは1kWhあたり60円〜90円相当に達することもあります。これはハイブリッド車のガソリン代とほぼ変わらないか、場合によっては割高になる水準です。公共の急速充電はあくまで「長距離移動時の航続距離延伸(レンジエクステンダー)」のための非常手段であり、日常の経済性を支える柱ではないという認識を持つ必要があります。