一般社会から見ると「なぜ社会的影響力を持つ著名人が特定の宗教に深く帰依するのか」という疑問が生じがちです。しかし、昭和から平成、そして令和に至る芸能史を紐解くと、芸能界特有の労働環境とメンタリティが入信理由と密接に結びついていることが浮き彫りになります。
芸能界は、人気や需要が外的要因によって一瞬で乱高下する「究極の不安定業種」です。オーディションに落ち続ける下積み時代、莫大な借金、重篤な病、人間関係の裏切りなど、個人の努力だけでは打開できない不条理に直面した際、先輩タレントから「この信心で道が開けた」と熱心に勧められ、題目を唱える中で精神的安定を得たというエピソードは枚挙にいとまがありません。
かつてWAHAHA本舗の草創期、借金や仕事不足に苦しんでいた劇団員時代を振り返った手記において、久本雅美は「明日食べるものにも困る極貧生活の中で、すがるような思いで題目を唱え、現状を打破する気力を保ち続けた」という趣旨の告白を残しています。また、山本リンダも歌手として長期のスランプに陥っていた時期に学会員からの励ましを受け、再ブレイクへと繋げたプロセスを公に語っています。
さらに近年では、自ら入信を決意した一世世代に加え、親が熱心な学会員である家庭に育った「創価二世タレント」「三世タレント」が増加しています。幼少期から会合への参加や勤行が生活習慣の一部となっており、特別な入信動機というよりも、自らのアイデンティティや家庭環境の延長として信仰を受け継いでいるケースが目立ちます。