ネット上のコミュニティでは時折、「『secret base 〜君がくれたもの〜』をアニメでカバーしたのは『あの花』が史上初だったのか?」という議論が持ち上がります。しかし、アニメの歴史を丹念に振り返ると、見落とされがちな重要なファクトが存在します。
実は『あの花』が放送される3年前の2008年、テレビ東京系列で放送されたTVアニメ『今日の5の2』のエンディング曲として、同作の声優ユニット「Friends」(小林ゆう、下田麻美、MAKO、明坂聡美、本多陽子、阿澄佳奈)によってすでに公式カバーされていました。『今日の5の2』版は、小学校高学年の日常とほろ苦い人間関係をモチーフにしており、学級崩壊や幼少期の終わりをテーマにした温かみのあるアレンジが施されていました。
ではなぜ、世間では「君がくれたもの=あの花」という認識が圧倒的多数を占めているのでしょうか。そこには、単なるカバー曲という位置づけを超え、「劇中のストーリーと歌詞の世界観の完全なる一体化」があったからです。『今日の5の2』が日常系コメディのアクセントとして楽曲の情緒を活用したのに対し、『あの花』は主人公たちのトラウマの解消と成仏というドラマの根幹に楽曲のメッセージを直結させました。その結果、楽曲と映像が不可分な記憶として視聴者の深層心理に刻み込まれることになったのです。