銀行員として働きながら独学で技術を磨き、三十路の手前で上京した決断は、当時の漫画業界においても極めて異例の経歴でした。安定を捨てて険しい道を選んだ背景には、故郷の風景と情熱を紙の上に表現したいという切実な思いがありました。
デビュー後、独創的な画法と緻密な取材姿勢で出版業界に鮮烈なインパクトを与えます。助手たちとの徹底した分業体制や、現地での徹底したロケハンに基づく背景描写は、当時の少年マンガの制作現場に革新をもたらしました。未公開のスケッチや制作ノートには、1コマの構図を決めるために重ねられた無数の試行錯誤の痕跡が刻まれています。