ネット上の掲示板やSNS、旅行比較サイトで囁かれる「最悪」という口コミの正体を紐解くと、主な不満点は「大混雑によるストレス」「食事が口に合わない」「下船手続きや移動のトラブル」という3点に集約されます。テレビ画面越しに見る、静かで優雅にワイングラスを傾ける優雅なクルーズ像を思い描いて乗船した旅行者ほど、現実との乖離に強い衝撃を受ける傾向が見て取れます。
実態として、ジャパネットが主力を置く超大型客船「MSCベリッシマ」(総トン数約17万トン)は、文字通り「海に浮かぶ巨大都市」です。乗客定員は4,000名を超え、全客室がほぼ満室で出港するチャーター便では、乗務員を含め約6,000名が同じ船内で生活を共にします。その結果、ディナー時のメインダイニングや寄港地への上陸ゲート、展望デッキのエレベーターホールには想像を絶する行列が発生します。「テーマパーク並みの混雑に巻き込まれ、とても豪華客船の風情ではなかった」というリアルな苦情が生まれる背景には、この物理的過密があります。
しかし、その一方で乗船者の多くが「スタッフの日本語サポートが手厚く、海外船とは思えない安心感だった」「荷物の事前自宅集荷から寄港地ツアーまで全部お任せで楽だった」と、他社クルーズにはない手厚いサービスを絶賛しているのもまた事実です。つまり、「最悪」という評価はサービス自体が粗悪というより、大型チャータークルーズという特殊な旅行形態への理解不足と、広告による過度な幻想が生み出した歪みなのです。