実写映画『進撃の巨人』が公開当時から猛烈なバッシングを浴びた背景には、単なる映像化の拙さではなく、観客が求めていた「作品の根幹」との致命的なズレが存在します。脚本を手掛けた町山智浩氏と渡辺雄介氏は、原作者である諫山創氏の「原作の真似をするのではなく、映画として別物の物語にしてほしい」という強い要望を受けてシナリオを構築しました。しかし、その改変が原作ファンにとって到底受け入れがたい方向へ舵を切ってしまったのです。
最も批判が集中したポイントは、主人公エレン・イェーガーの精神性の変貌です。原作のエレンが抱く「巨人を駆逐して外の世界へ出る」という剥き出しの狂気や執念は薄められ、実写版では「不満を抱えながら燻る等身大の無力な若者」として描かれました。さらに、ミカサが序盤でエレンと生き別れ、劇中最強のオリジナルキャラクターであるシキシマ隊長に心身ともに依存しているかのような描写は、原作が持つストイックな戦友愛を期待したファンを猛烈に失望させました。
加えて、廃墟や不発弾が放置された「終末日本」を思わせる世界観設定、緊迫した戦時下での不自然な色恋沙汰描写など、原作の持つ重厚なダークファンタジーの美学を解体してしまった点が、今日に至るまで「ひどい」と評される最大の要因です。