1970年代末、途絶えかけていた周防猿まわしの復興に命を懸けた青年は、運命の相棒である初代次郎と出会った。泥臭い稽古の果てに生み出された「反省」のポーズは、テレビCMを通じて瞬く間に国民的アイコンへ昇華。さらに映画『次郎物語』への出演を果たし、文化庁芸術祭賞を受賞するなど、猿まわしという芸能を文化的な高みへと押し上げた。
だが、栄光の影には常に凄絶な葛藤がつきまとっていた。人と動物が舞台上で対等に渡り合うための厳格な鍛錬、動物愛護の観点から投げかけられる世間の厳しい視線、そして何より相棒の死。初代次郎を見送ったあとの喪失感は想像を絶するものだったが、芸の道を止めることは許されなかった。