近年、千葉市内のとんかつシーンを席巻しているのが、低温の油でじっくりと時間をかけて揚げ切る「白とんかつ」だ。黄金色のザクザクした衣とは対照的に、ほんのり淡いキツネ色のしっとりとした衣を纏う。包丁を入れた瞬間に現れる肉断面は、宝石のようなうっすらとしたピンク色。一口噛み締めれば、衣の軽やかな歯ざわりの後に、閉じ込められていた肉汁がじゅわっと口いっぱいに広がる。
「従来の高温揚げでは失われていた肉の水分を、60度〜140度の油温調整で完璧に保持する」と語るのは、千葉駅近くで話題を集める新進気鋭の店主だ。油切り後の余熱による火入れ時間を秒単位で計算するその仕事は、もはや料理というより科学実験に近い。この徹底したこだわりが、従来の「重い揚げ物」という概念を完全に覆している。