三面等価の原則はなぜ一致する?Gdpの真実と統計の罠を徹底解剖

三面等価の原則はなぜ一致する?Gdpの真実と統計の罠を徹底解剖

三面等価の原則はなぜ一致する?Gdpの真実と統計の罠を徹底解剖について専門的な視点から解説いたします。専門家の見解をお届けします。

ここで必ず生じる疑問が、「三面等価の原則 なぜ一致するのかは分かったが、作ったパンが売れ残って廃棄されたり倉庫に眠ったりしたら、生産と支出はズレるのではないか」という点です。直感的には極めて自然な疑問であり、初学者がつまずく最大の関門と言えます。

この疑問を解く鍵は、GDP統計における「事後的(Ex-post)な定義」と「在庫品増加の扱い」に隠されています。

マクロ経済統計では、期中に売れ残った製品を「企業が自らの在庫として購入した」とみなします。会計上、これは「総固定資本形成」と並ぶ民間投資の一種である「在庫品増加」として支出面に計上されます。つまり、客が買わなかったパンであっても、「パン屋自身が将来の販売のために自社へ支出して買い取った」と処理されるルールになっているのです。

これを数式で整理すると、より明確になります。

支出面から見た国内総支出(GDE)の計算式は以下の通りです。

GDE = 民間最終消費支出(C)+ 政府最終消費支出(G)+ 総資本形成(I)+ 財・サービスの純輸出(輸出X - 輸入M)

売れ残りが発生した場合、投資項目である総資本形成(I)の中の「在庫品増加」が同額だけプラスされます。もし売れ残ったパンが翌期に値下げされて売れれば、翌期の消費(C)が増える一方で在庫品増加(I)がマイナスとなり、数字の帳尻は完全に合致します。

一方、分配面から見た国内総所得(GDI)の内訳は以下の通りです。

GDI = 雇用者報酬 + 営業余剰・混合所得 + 固定資本減耗 +(生産・輸入品に課される税 - 補助金)

商品がまったく売れず損失が出た場合、その損失は分配面の「営業余剰」のマイナスとして吸収されます。従業員の給料(雇用者報酬)を支払った後に残る企業の営業利益が縮小することで、分配側の合計額が生産側の縮小に瞬時にアジャストします。三面等価が必ず一致するのは、経済が円滑に回っているからではなく、「どのような事象が起きても一致するように計算ルール(恒等式)が設計されているから」にほかなりません。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。