「プレステが異次元に高くなった」という感情は、特に日本の消費者において顕著です。その理由は、グローバルの実質販売価格と、日本国内における実質賃金・物価感覚との間に生じた「二重のギャップ」にあります。
主要国のPS5通常版の定価を比較すると、米国では499.99ドル(税抜)、欧州では549.99ユーロ(税込)、英国では479.99ポンド(税込)となっています。米国で州税(平均約7〜10%)を加算した実支払額は約545ドル前後であり、1ドル=150円換算では日本円で約81,750円となります。つまり、現在の日本国内定価である税込79,980円は、為替レート換算で見れば世界標準と同等か、依然としてわずかに割安な水準に設定されています。
しかし、過去数十年にわたり名目賃金が大きく上昇してきた欧米諸国に対し、日本国内では長らく賃金の上昇率が緩やかでした。欧米の生活者にとって「500ドルの買い物」である感覚に対し、日本の生活者にとっては「8万円の出費」という絶対額の重みがダイレクトに家計へ響きます。ソニーがグローバル企業として為替リスクをヘッジした結果、日本の消費者心理との間に「心理的購買力平価の断絶」が生じてしまったと言えます。