全国のカフェ利用者を対象としたヒアリングやネットの口コミを調べると、「アメリカン=通常ブレンドにお湯を足して薄くしたもの」と信じている層が依然として半数近くを占めています。結論から言えば、本来のアメリカンコーヒーはお湯割りではありません。
日本における本来の定義は、浅煎り焙煎度(シナモンローストやミディアムロースト)のコーヒー豆を用いて、標準的な比率で丁寧に淹れたドリップコーヒーを指します。深煎り豆が放つ黒褐色や濃厚な苦味・ロースト香とは対照的に、浅煎り豆は紅茶にも似た明るい透き通った赤褐色を帯び、ベリーや柑橘を思わせるフルーティーな酸味と穏やかなコクを持ちます。
それにもかかわらず「薄い」と感じられる理由は、焦げ由来の苦味成分(フェニルインダン類など)が焙煎段階でほとんど形成されていないためです。人間の舌は強い苦味や濃厚なとろみを感じると「濃い」、フルーティーでサラリとした口当たりだと「薄い」と錯覚しやすい特性を持っています。色合いの透明感と苦味の少なさという2つの要素が重なり、「お湯で割っただけの薄いコーヒー」という偏見が独り歩きしてしまいました。