相加平均とは日常で使われるいわゆる「算術平均(足して個数で割る)」であり、相乗平均は成長率や比率の平均を算出する際に用いられる「幾何平均(掛けて根をとる)」を指します。正の実数 $a > 0, b > 0$ に対して、相加平均と相乗平均の大小関係は常に以下の不等式で表されます。
$$\frac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab}$$
この不等式がなぜ例外なく成り立つのか、まずは代数的な高校数学II 不等式の証明の基本手順で確認します。実数の性質である「(実数)$^2 \geqq 0$」を利用するのが最もスマートな手法です。
$$\frac{a+b}{2} - \sqrt{ab} = \frac{a - 2\sqrt{ab} + b}{2} = \frac{(\sqrt{a} - \sqrt{b})^2}{2}$$
$a > 0, b > 0$ であるため $\sqrt{a}, \sqrt{b}$ は実数であり、実数の2乗は必ず0以上になります。したがって差が0以上となるため、$\frac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab}$ が証明されます。ここで差がちょうど0になるのは $\sqrt{a} - \sqrt{b} = 0$、すなわち $a = b$ の瞬間だけです。これが相加相乗平均 等号成立条件の代数学的な根拠です。
さらに視覚的な理解を深めるのが、相加相乗平均 証明 図形のアプローチです。直径を $a + b$ とする半円を考えます。直径を $a$ と $b$ に分ける点を通り、直径に垂直な弦を引いて半円の弧と交わらせると、方べきの定理(または直角三角形の相似)により、その垂線の長さは $\sqrt{ab}$ となります。一方、この半円の半径は言うまでもなく $\frac{a+b}{2}$ です。円周上の点は中心からの距離(半径)を超えることができないため、幾何学的にも常に「半径 $\geqq$ 垂線の長さ」、すなわち $\frac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab}$ が成立することが一目で納得できます。垂線が半径と一致する(長さが等しくなる)のは、垂線の足が半円の中心にあるとき、すなわち $a = b$ のときに限られます。