料理掲示板やSNS上で「家庭のおでんが専門店の味に届かない」と悩むユーザーの投稿を分析すると、9割以上に共通しているのが下処理の省略です。プロの料理店が仕込みにかける手間の大半は、実は煮込む前段階に集中しています。
絶対に見逃してはならないのが、大根とこんにゃくの下茹でと丁寧な下ごしらえです。大根は2.5cm〜3cmの厚めの輪切りにし、皮を厚めに剥いて角を落とす「面取り」を施します。十字の隠し包丁を入れた後、米のとぎ汁(または少量の米を加えた湯)で約20分下茹でして透き通る状態にしておくことで、特有のえぐみが抜け、本煮込みの出汁を一瞬で吸い込む準備が整います。こんにゃくも塩揉み後に熱湯で3分茹でてアクを抜き、両面に細かく格子状の切り込みを入れます。
また、さつま揚げや厚揚げに熱湯を回しかける「油抜き」を省くと、酸化した揚げ油が出汁の表面を覆い、味を鈍重にさせる最大の要因になります。ザルに並べて裏表に熱湯をたっぷりかけるだけで、スープのキレが劇的に向上します。
さらに、名店が密かに実践しているプロの隠し味レシピとして知られるのが、みりんの使用量を控えて「多めの清酒」と「数滴のオイスターソース」を加えるアプローチです。甘みをみりんに頼りすぎると出汁が重くなり、煮詰まりやすくなりますが、オイスターソースに含まれる牡蠣の凝縮されたアミノ酸と微量の塩分は、鰹と昆布の和風出汁に圧倒的な深みとコクを付与してくれます。