この土地が「奇跡のタイムカプセル」と呼ばれる最大の理由は、木製品の驚異的な残り具合にある。発掘された鍬(くわ)や鋤(すき)、木鉢、さらには高床住居の柱材に至るまで、加工時のノミ跡や使用による削れ具合がはっきりと視認できるレベルで保管されていた。
最新の3Dスキャン技術によって木工具の曲面を解析したところ、樹種の選定において極めて合理的な選択が行われていたことが分かった。強度が必要な柄の部分には硬質なカシ類を使い、水にさらされる刃先には加工しやすく耐水性のある木材を配するなど、素材の特性を熟知した職人技が光る。試行錯誤を重ねた古代人の技術的英知には、現代のプロダクトデザイナーさえも舌を巻く。