日本の飲食店や家庭では、フライドポテトを親しみを込めて「ポテト」と呼びます。しかし、英語圏のネイティブスピーカーにとって「potato」は、あくまで土から収穫された根菜としてのじゃがいも全般を表す名詞にすぎません。レストランで「I want a potato.」と伝えると、料理の付け合わせではなく「生のじゃがいもを1個そのまま欲しいのか」と誤解されるか、ベイクドポテト(丸焼き)を想起させてしまいます。
日本で「フライドポテト」と呼ばれる表現自体も、実は英語圏の日常会話ではあまり使われない和製英語に近い表現です。文法的には「fried potatoes」と複数形にすれば「油で揚げたじゃがいも料理全般」を指す表現として通じる場合はありますが、ファストフードで提供される細切りのポテトを指す言葉としては不自然に聞こえます。
アメリカで定着している「french fries」の語源については諸説ありますが、もっとも有力な歴史的背景として知られているのが、第一次世界大戦時のエピソードです。ベルギー南部に入ったアメリカ兵が、現地で食べられていた細切りの揚げじゃがいも料理をご馳走になった際、ベルギー軍の公用語がフランス語であったことから、兵士たちがこれを「フレンチフライ」と呼んで本国へ持ち帰ったことが始まりとされています。料理のカット技法である「French cut(フレンチカット=細長く拍子木切りにすること)」に由来するという説も存在し、いずれにせよ単なる素材名(potato)ではなく調理形状を特定する呼称が使われてきました。
ネイティブに通じる発音を押さえることも重要です。「じゃがいも」を意味する「potato」の英語発音は、カタカナ表記の「ポテト」とは大きく異なります。国際音声記号(IPA)では「/pəˈteɪ.toʊ/」と表記され、最初の「po-」は口を小さく開けた曖昧母音の「パ」、第2音節の「-ta-」に強いアクセントを置いて「テイ」、語末は「トゥ」のように発音し、全体として「パテイトゥ」に近い響きになります。音節のリズムと強弱を意識しないと、単語自体が正確であっても聞き取ってもらえない要因となります。