『ハレンチ学園』が巻き起こした最大の社会的摩擦は、全国の小中学校で爆発的に流行したスカートめくり社会問題でした。主人公たちが編み出した奇抜な技や登下校時の悪戯が児童の間で忠実にトレースされ、教育現場は未曾有のパニックに陥ったのです。
これに対し、真っ先に牙を剥いたのが全国PTA協議会でした。「子どもの性的道徳観を麻痺させ、女性への性暴力を助長する」として、全国各地の自治体に対して有害図書指定の経緯が雪崩を打つように進んでいきました。長野県をはじめとする地方自治体が相次いで有害指定を決定し、書店店頭からの排除や、校庭にマンガ雑誌を積み上げて燃やす「悪書追放焚書運動」までが公然と行われたのです。
ハレンチ学園 PTA論争の激化は、ドラマ版の制作現場にも直接的な打撃を与えました。ハレンチ学園 ドラマ規制理由の根幹にあったのは、教育関係者からの組織的な抗議電話と、番組提供スポンサーへの不買運動の威嚇です。現場の演出陣は、カメラのアングルをローアングルから俯瞰へと変更し、スカートの下に着用する下着を毛糸のパンツや水着のような安全な素材へと差し替えるなど、連日のように対策に追われました。
しかし、原作者の永井豪と少年ジャンプ初代編集長・長野規は、この社会的一斉蜂起に対して一歩も退きませんでした。表現の自由を盾に法廷闘争も辞さない姿勢を示し、物語の結末として描かれた「ハレンチ大戦争」では、学園を弾圧し生徒たちを虐殺する教育委員会や大人たちと、機関銃を取って戦う生徒たちの壮絶な全滅劇を描き上げました。表現の規制に対する痛烈な風刺と怨念を作品内で昇華させたこの展開は、今なお日本のマンガ史における最も先鋭的な抵抗の記録として刻まれています。