歯の神経(歯髄)は、単に「痛みを感じるセンサー」だけではありません。微細な血管が張り巡らされ、歯の内側から水分や栄養、免疫細胞を送り届ける重要な生命線です。これを失うことで生じる歯の神経を抜くデメリットは、長期的に見て極めて重大です。
もっとも警戒すべきは歯が割れるリスク(歯根破折)の増大です。神経を失った歯は「水分を失った枯れ木」のように脆くなり、日々の咀嚼圧や食いしばりによって根元から真っ二つに割れてしまう危険性が跳ね上がります。歯根が垂直に破折した場合、現代の歯科医療でも修復は困難であり、ほぼ確実に「抜歯」宣告を受けることになります。
一般的に、神経を抜いた歯の平均寿命は「約10〜30年短くなる」と言われています。60代で抜髄した場合と異なり、20代で抜髄した歯は70代・80代を迎えるまでの50年以上を持たせなければなりません。一度抜髄を選択すると、その後の再治療(再根管治療)を繰り返すたびに歯質が削られ、最終的に将来の抜歯リスクへと直結していくのです。