符号の変え方を機械的な暗記だけで済ませようとすると、複雑な式に出会ったときに必ず混乱が生じます。まずはかっこの外し方で符号が変わる理由を本質から把握することが確実なステップです。
数学における「マイナス」には、単なる数字の小ささを表すだけでなく、「向きを反対にする(反転させる)」という強力な作用があります。数直線上で右向きに進むことをプラスとするなら、マイナスを掛ける操作は「回れ右をして反対を向く」動作に相当します。
マイナスにマイナスを掛ける場合、「反対(マイナス)」をさらに「反対(マイナス)」に向けるため、結果として「前(プラス)」を向くことになります。この正負の数の乗法と分配法則が合体したとき、括弧内のすべての要素に対して「反転の指示」が均等に適用されます。
具体的には、$-(a - b)$ という式は「$-1 \times (a - b)$」を意味します。$-1$ を $a$ に掛けて $-a$ になり、$-1$ を $-b$ に掛けることで $+b$ に反転します。このように分配法則の展開でマイナスを配る際は、「括弧の中の符号がすべて裏返る」という明確なメカニズムが働いています。