協会からの支給金だけでは到底補えない赤字分を穴埋めしてきたのが、伝統的な後援者である「谷町(たにまち)」です。熱心な企業経営者や地元の名士たちで構成される後援会からの支援金や寄付金、さらには米、肉、酒といった現物支給が、相撲部屋の生命線を支え続けてきました。本場所での勝ち越し祝いや昇進パーティー、千秋楽の打ち上げパーティーなどで集まる祝儀や会費は、部屋にとって極めて貴重な臨時収入となります。
ところが近年、長引く景気の不透明感や企業コンプライアンスの厳格化に伴い、従来の「見返りを求めない無償のタニマチ文化」は急速に形骸化しています。かつてのように億単位の資金を惜しげもなく提供する大口パトロンは激減し、後援者の高齢化も重なって支援の先細りが顕著です。現代のファン層に合わせたオンラインサロンの開設やファンクラブの組織化、グッズ販売などのデジタル収益化を模索する親方も増えていますが、旧態依然とした業界の枠組みの中では試行錯誤が続いています。