市場に出回る成長サプリの主成分として、長年君臨してきたのがアミノ酸の一種であるアルギニンだ。「成長ホルモンの分泌を強力に促進する」という触れ込みで、多くの製品が高濃度配合をアピールしている。
だが、この言説には重大なレトリックのすり替えが存在する。日本小児内分泌学会は公式声明において、健康な小児がアルギニンを経口摂取しても、身長を伸ばす効果は科学的に証明されていないと明言している。成長ホルモン分泌不全の診断テストで行われる「アルギニン負荷試験」は、高濃度のアルギニンを点滴で直接血管内に急速投与するものであり、日常的なサプリメントの経口摂取とは生体内での動態がまったく異なる。
口から摂取されたアルギニンの大部分は肝臓で代謝され、全身の血中濃度を劇的に上げることはない。むしろ過剰摂取による胃腸障害や浸透圧性下痢のリスクさえ指摘されている。「アミノ酸神話」に依存した商品設計は、医学的な文脈からかけ離れた商業的演出と言わざるを得ない。