水害を正しく恐れ、正しく備えるための第一歩は、「内水(ないすい)」と「外水(がいすい)」のメカニズムの違いを正確に把握することです。日常会話では単に「浸水」「洪水」と一括りにされがちですが、土木工学や水防法において両者は明確に区別されています。
外水氾濫との違いを一言で言えば、「水がどこからやってくるか」です。外水氾濫とは、台風や長期的な大雨によって河川自体の推移が堤防を越えたり(越水)、堤防そのものが決壊・崩壊したりして、川の水が街へ流れ込む現象を指します。これに対して内水氾濫 原因の本質は、市街地や住宅街に直接降り注いだ雨水が、側溝や下水道管などの排水路に処理しきれずに地表面へ停滞・氾濫することにあります。
日本の都市部における雨水排水管は、多くが「1時間に50ミリ〜60ミリ程度」の降雨を想定して設計されています。しかし近年頻発するいわゆるゲリラ豪雨 浸水リスクは、局所的に時間雨量80ミリから100ミリを超えるケースも珍しくありません。許容量をはるかにオーバーした雨水は逃げ場を失い、道路の側溝やマンホールから逆流して地上へとあふれ出します。さらに、街の雨水を川へと吐き出す水門が、本川の水位上昇に伴って閉じられることで(内水が川へ流せなくなる「バックウォーター現象」など)、ポンプ場の排水機場 ポンプ能力を上回り、街全体が巨大な水たまりと化してしまうのです。