琥珀色のペンダントライト、重厚な革張りソファ、そして分厚いガラス器に盛られた鮮やかなクリームソーダ。2020年代半ばを過ぎた今、Z世代を中心とする若い世代が求めているのは、無機質なミニマリズムではなく「手触りのある温もり」だ。スマートフォンをポケットに仕舞い込み、文庫本のページをめくる。効率化が極限まで進んだ社会に対する、静かな抗いがここにある。
カウンターに腰掛けた20代の常連客は、こう吐露した。「SNSのタイムラインから完全に離れて、自分の思考を取り戻せる場所。ただ静かに佇むこと自体が許される空間が、今の都市には圧倒的に足りていなかった」。