おでんの主役でありながら、最も味を染み込ませるのが難しい大根。中まで出汁がジュワッと溢れる仕上がりにするためには、加熱の科学に基づいた下準備が欠かせません。
大根の下茹で3ステップ
大根の下茹でを怠ると、独特の生臭さや苦味がつゆに移り、繊維が邪魔をして出汁が芯まで入りません。以下の工程を確実に行うことが必須です。
- 厚みと面取り:厚さは3〜3.5cmに切り、皮は繊維の多い筋の層を除くため厚め(3〜4mm)に剥きます。角をぐるりと薄く削る「面取り」を行い、煮崩れを防止します。
- 隠し包丁:片面に深さ1cmほどの十字の切り込みを入れます。この隙間から対流する出汁が芯へと浸透します。
- 米のとぎ汁で水から加熱:鍋に大根と米のとぎ汁(または生米大さじ1を加えた水)を注ぎ、中火にかけます。沸騰後は弱火で竹串がスーッと通るまで25〜30分下茹でします。茹で上がったら流水でぬめりを優しく洗い流します。
専門店が密かに忍ばせる「隠し味」の正体
家庭のおでんと専門店の味を分かつ決定打、それは「オイスターソース小さじ1」または「鶏手羽先(または牛すじ)の初期投入」です。
オイスターソースは牡蠣の濃厚なグルタミン酸とタウリン、微量な糖分を含んでおり、つゆ全体にわずか小さじ1(水1Lに対して)加えるだけで、色を変えずに圧倒的な「底味の深み」を付与します。さらに、日本酒を多め(大さじ2〜3)に加えてアルコール分を飛ばすことで、具材の臭みを消しながら芳醇な香りを立たせることができます。