逆流性食道炎の最新治療アプローチでは、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)による薬物療法と並行して、下部食道括約筋の物理的な締め付け力を低下させない生活習慣の確立が最重要視されています。
胃と食道の接合部にある下部食道括約筋は、平滑筋と呼ばれる自律神経支配の筋肉です。この筋肉を意図せず緩めてしまう食品群を把握しておくことは、食事療法の基本中の基本となります。バナナそのものは油分を含まないため直接的に筋肉を弛緩させる作用は弱いものの、組み合わせによって最悪の相乗効果を生み出します。
代表的なNG例が「バナナと高脂肪ヨーグルトの組み合わせ」や「カフェイン入りコーヒーとの同時摂取」です。ヨーグルト自体は酸を和らげるイメージがありますが、乳脂肪分は消化管ホルモンであるコレシストキニンの分泌を促し、下部食道括約筋を急激に緩める作用を持ちます。脂質の多いヨーグルトに糖度の高いバナナをトッピングし、さらに食道括約筋を緩めるカフェインを流し込む朝食スタイルは、逆流性食道炎患者にとって自ら逆流のスイッチを押しているようなものです。
低脂肪の乳製品を選ぶ、食後2時間は絶対に横にならず椅子に深く腰掛けて背筋を伸ばす、腹部を締め付ける服装を避けるといった、胃内圧を外側から高めない工夫を徹底することが食道粘膜の治癒を大きく後押しします。