テレビシリーズ第5期ではなく、なぜ「劇場版2部作」というフォーマットが選ばれたのか。その最大の理由は、原作でも屈指の人気と密度を誇る春高バレー3回戦・烏野高校VS音駒高校の戦いを、映画館ならではの没入感と音響設計で一気呵成に描き切るためでした。
『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が描いた範囲は、原作コミックス第33巻(第293話)から第37巻(第325話)にあたる音駒戦のすべてです。上映時間はあえて85分というコンパクトな尺に凝縮され、試合開始のホイッスルから試合終了の瞬間まで、観客がまるで体育館のコート脇で観戦しているかのようなノンストップの疾走感が実現されました。
テレビアニメのような週ごとのインターバルを挟まず、1本の映画としてボールが床に落ちるまでの息遣いを描き切るという選択は、劇場版というメディアだからこそ到達できた表現の極地です。