十八代目勘三郎さんといえば、舞台上での天才的な演技力の一方で、私生活でも自由奔放かつエネルギッシュな人物として知られていました。交友関係は芸能界から政財界まで驚くほど広く、時に週刊誌を賑わせるような浮名やハプニングも少なくありませんでした。
しかし、好江さんはそうした夫の奔放さを決して感情的に責め立てることはありませんでした。「あの人が舞台の上で最高の輝きを放っているなら、少々のやんちゃは芸の肥やし」と言わんばかりの圧倒的な包容力と肝の据わった対応で夫を受け止め続けたのです。
勘三郎さんもまた、外では豪快に振る舞いながらも、家庭では好江さんに頭が上がらず、誰よりも妻を信頼し愛していました。体調を崩した際や大きな舞台の前には必ず好江さんの手を握り、精神的な安らぎを求めていたというエピソードは、二人の絆の深さを物語っています。著書『女房の手前味噌』などでも明かされている二人の掛け合いは、まさに戦友であり最愛の伴侶と呼ぶにふさわしい関係性でした。