AIグラビアというジャンルが社会的な認知を一気に獲得した転換点として、2023年5月に発生した集英社『週刊プレイボーイ』による生成AIグラビア「さつきあい」のデジタル写真集発売と、その後の販売終了騒動が挙げられます。編集部主導で生み出された「実在しない美少女」は発売直後から大きな話題を呼んだものの、実在する人気タレントの顔立ちや特徴に酷似している点、学習データの透明性に関する説明不足などがSNS上で猛烈な批判を浴び、最終的に発売中止・販売終了の決断が下されました。
当時の報道各社の取材データや業界関係者の証言を振り返ると、この騒動は「生成AIが既存の出版クオリティに達した証明」であると同時に、「法規範と倫理観の整備が技術の進化に追いついていない現実」を浮き彫りにしました。しかし、この騒動によって技術の存在を知った一般ユーザーやクリエイターが爆発的に参入。オープンソースの画像生成モデルであるStable Diffusionの普及や、特定の顔・ポーズ・画風を効率的に追加学習できるLoRA(Low-Rank Adaptation)モデル学習の技術が共有されたことで、個人の手による作品制作が一気に加速したのです。
制作環境の劇的な変化も普及を後押ししました。かつては高性能なGPUを積んだハイスペックPCが必須でしたが、現在ではブラウザ上で手軽に試せる無料の生成サイトが多数登場し、参入障壁は劇的に低下しました。誰もがプロ並みの画像を瞬時に作れる環境が整ったことこそが、タイムラインを埋め尽くす供給過多を生み出した根本的な要因です。