これまでの「障害=悲劇や困難の象徴」というドラマツルギーに風穴を開けたのが、2026年放送の『星降る夜に』(テレビ朝日系)です。主演の吉高由里子(産婦人科医・雪宮鈴)と、生まれつき耳が聞こえない遺品整理士・柊一星を演じた北村匠海のコンビが話題を呼びました。
本作の画期的な点は、耳が聞こえない一星が「同情される存在」ではなく、誰よりも感情豊かで自由奔放、かつ魅力的な青年として描かれていることです。手話を使って大胆に感情をぶつけ、下ネタもユーモアも交えながら軽やかに人と繋がっていく姿は、視聴者の固定観念を心地よく覆しました。大石静による脚本は、命の始まり(産婦人科)と命の終わり(遺品整理)という対極の現場を舞台にしながら、人と人が通じ合うことのあたたかさを鮮烈に描き出しています。
さらに同年には、NHKで草彅剛主演の『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』が放送され、聴覚障害者の親を持つ聴者である「コーダ(CODA)」の視点や、ろう者コミュニティ内部の複雑な人間関係に深く切り込み、高い評価を獲得しました。悲劇性だけに頼らず、社会のリアルな多様性と当事者の尊厳にフォーカスする表現が、近年のスタンダードとなっています。