近年、教育界で大きな話題を呼んだのが、西大和学園の高校募集停止に関する動向です。かつて同校は「高校入試組(高入生)」からも極めて優秀な生徒を多数獲得し、進学実績を牽引してきた歴史があります。灘高校や東大寺学園高校と並ぶ高校受験の最高峰として君臨していた同校が、なぜ募集停止へ舵を切ったのでしょうか。
取材関係者および学校関係者の分析によると、その理由は主に3つの構造改革に集約されます。
第1の理由は、6年間を見据えた教育カリキュラムの高度化と深度化です。中学3年間で中学校課程をほぼ終え、高校過程を早期に履修する中高一貫カリキュラムにおいて、高校から合流する生徒と内進生との進度差を埋めるコストは年々増大していました。さらに、前述した「AIP」や課題探究型学習、STEAM教育といった教科外の高度なプロジェクトは、中高6年間を一気通貫で設計しなければ最大の教育効果を発揮できません。
第2の理由は、大学入試改革への適応です。大学入学共通テストにおける情報科目の導入や、国公立大学における総合型選抜・学校推薦型選抜の定員枠拡大により、高校3年間だけの詰め込み型受験対策では太刀打ちできない入試形態が増加しました。早期から探究実績や論述力を育むためには、中高一貫体制の完結が不可欠であったという事情があります。
第3の理由は、女子生徒の比率および学園全体のブランド純化です。女子中等部の成功により、一貫生だけで学年定員を満たせるだけの圧倒的な人気と母集団を確保できるようになり、無理に高校募集を継続する必要性が薄れたことも決定的な要因となりました。