空調機器の修理・保全に携わるサービスエンジニアの報告書や、ネット上のコミュニティ(知恵袋、SNSの投稿)を精査すると、ユーザーの自己判断による「無駄な出費」と「危険な思い込み」が浮き彫りになります。
大手家電量販店の修理受付担当者は次のように実情を明かします。「『リモコンを新品に買い替えたのにエアコンが動かない』と怒り心頭で持ち込まれる事例の約3割は、実は室内機側の受光基板(フォトトランジスタ)の経年劣化や、室内機のコンセント抜けが原因です。高価な純正リモコンを7,000円前後で購入された後に本体側の故障と判明し、二重の出費になってしまうケースが後を絶ちません」。
実際に、過去に発生したリモコン分解修理の失敗談として、内部の導電ゴムボタンに市販のアルミホイルを接着して一時的にしのごうとした結果、基板上でショートを起こして完全にICチップを焼き切ってしまった事例も報告されています。さらに、ペットの毛やキッチンの油煙がエアコン室内機の受光窓(半透明のアクリル部)に分厚く固着し、赤外線が物理的に遮断されていたという現場検証結果も存在します。レンズクリーナーで受光部表面をひと拭きしただけで、何事もなかったかのように通信が回復する事例は決して珍しくありません。