2004年にパリで生まれた辻十斗氏は、両親が2014年に離婚を決断した際、大きな人生の岐路に立った。親権が父である辻仁成側に渡ったことで、彼は生まれ育ったフランス・パリでの生活を継続することを選択。異国の地でシングルファザーとして息子を育てる父の奮闘は、辻仁成自身のSNSやブログ、エッセイを通じて日常の息吹とともに発信され、多くの人々の心を打った。
「息子に温かい家庭料理を食べさせたい」という一心で作られた毎日の弁当や、現地の学校生活を巡るエピソード。そこには、時にぶつかり合い、時に肩を寄せ合う父と息子の泥臭くも愛おしい日常があった。パリという世界有数の文化都市で多感な時期を過ごした十斗氏は、フランス語と日本語を自在に操る国際的な感覚を身につけ、静かに独自の価値観を深めていった。