ネット上のQ&AサイトやSNSの投稿を調査すると、「おりものは確かに緑色っぽいけれど、かゆみも痛みもないから様子見している」「痒くないから性病ではないはず」といった声が驚くほど多く見受けられます。
しかし、婦人科の医療現場において、緑色のおりもの かゆみなしという状態は「安全宣言」では決してありません。むしろ、無自覚のうちに深部へ病原体が侵入している危険なサイレント進行を示唆しているケースが多々あります。
例えば、クラミジア感染症に罹患した女性の約70〜80%は自覚症状がほぼ存在しないと厚生労働省の報告でも指摘されています。また、細菌性膣症も外陰部の皮膚炎を起こしにくいため、強い痒みを感じない患者が大多数です。かゆみがないからと放置している間に、病原菌は膣から子宮頸管、子宮内膜、卵管、そして腹腔内へと上行性に感染を広げていきます。
その結果、骨盤腹膜炎を引き起こして激しい下腹部痛に襲われたり、卵管閉塞や癒着によって異所性妊娠(子宮外妊娠)や将来の不妊症につながる事態が後を絶ちません。「かゆみ」は外陰部皮膚の刺激反応に過ぎず、深部の感染の有無を測る指標にはならないという医学的事実を認識することが極めて重要です。