金華山には現在、神社の神職や職員以外の定住島民はいません。コンビニはおろか自動販売機すら極めて限られた場所にしかない禁欲的な環境ですが、この島での滞在価値を何倍にも引き上げる選択肢が、神社併設の「参籠所(宿坊)」への宿泊です。
宿坊に身を寄せる参拝者の口コミは、大手トラベルサイトや知恵袋、SNS上でも熱度の高い声が寄せられています。
「ホテル感覚で行ったら面食らう。館内は伝統ある木造建築で洗練された静けさがあり、夜は波と鹿の鳴き声しか聞こえない。しかし、早朝の特別祈祷で大太鼓が響き渡った瞬間、背筋に電流が走るような神聖さを味わえた。あれを体験したら日帰りには戻れない」(40代・個人事業主)
「夕食には三陸の海の幸が並び、素材の良さに感動。お風呂も神仏の恵みを感じる大浴場。ただ、冬場や春先は木造ゆえに底冷えするため、防寒着が必須。テレビも歓楽街もない夜にスマホの電源を切って自分自身と向き合えたことが最大の収穫だった」(30代・会社経営者)
宿坊に宿泊した者だけが受けることを許されるのが、毎朝午前6時台から本殿で執り行われる「一番祈祷」です。朝靄が立ち込める荘厳な空気の中、神職による祝詞奏上と巫女の舞、激しく打ち鳴らされる御太鼓の重低音が本殿の板敷きを震わせます。この祈祷を通じて賜る御札には個人の祈願主名が墨書され、その清浄なエネルギーに涙を流す参拝者も少なくありません。
なお、宿坊宿泊はプライベートなリゾートホテルではありません。消灯時間の厳守や食事配膳の協力、洗面具・寝間着の持参など、霊場寺社における「参籠(お籠り修行)」であることを自覚した大人の振る舞いが求められます。