当館の中核を成すのが、江戸末期に加賀国大野村へ移住し数々の発明を残した科学技術者・大野弁吉(おおの べんきち)の世界です。弁吉は京都で天文学、数学、医学、理化学、写真技術などを修めた後、大野の地に居を構え「からくり十兵衛」とも称されました。
展示棟で最も注目を集めるのが、スタッフによる「茶運び人形」の実演です。ゼンマイと歯車、テンプ、そして木製のカム機構のみを用い、茶碗を乗せると静かに前進し、客人が茶碗を取ると停止、空の茶碗を戻すと180度旋回して元の位置へ帰るという一連の自律的動作が披露されます。
報道各社の取材でも「現代のロボット工学やプログラミング思考の原点がここにある」と評される通り、ゼンマイのトルク制御や脱進機の仕組みを間近で観察できる体験は、子供だけでなく工学ファンをも唸らせる完成度を誇ります。さらに館内には、弁吉が製作した無煙火薬の実験器具や写真機、エレキテル(摩擦起電機)の復元模型など、知的好奇心を刺激する展示が惜しみなく公開されています。