ギオンコーナーの最大の特徴は、狂言、文楽、茶道、華道、琴、雅楽、そして舞妓の京舞公演という、日本の伝統芸能を代表する7つのエッセンスがひとつのステージに凝縮されている点です。大正から昭和初期の歴史を刻む弥栄会館の敷地内、祇園甲部歌舞練場に隣接する会場で行われる公演は、舞台転換の無駄を削ぎ落とした緊密な構成を誇ります。
全体のギオンコーナー所要時間はおよそ50分から60分。舞台中央で茶道の手前が点てられ、サイドでは優雅な華道の生け込みが同時進行するなど、視覚的・空間的な工夫が凝らされています。さらに、茂山狂言会をはじめとする名門による大蔵流狂言の滑稽な掛け合いや、人形浄瑠璃(文楽)の繊細な首(かしら)の動きなど、通常であれば個別の劇場で何時間もかけて鑑賞する芸能が一堂に会します。
タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する現代の旅行者にとって、夕方から夜にかけての1時間弱で多角的な日本の伝統芸能体験を完結できるプログラムは、極めて高い利便性と満足度を両立させています。