御札を祀るうえで見落とされがちなのが、御札の有効期限と返納の経緯に関するルールです。「大切に保管していれば何年もご利益が続く」と誤認している人が少なくありませんが、神道の根本理念に照らし合わせると、これは明確な誤りです。
原則として、御札の霊験の期間は「授与されてから1年間」と定められています。神道には「常若(とこわか)」という中核思想が存在します。建物や調度品、そして魂を定期的に新しく作り直すことで生命力を清浄に保ち続けるという考え方です。伊勢神宮で20年に一度行われる式年遷宮がその頂点にあります。一般家庭の御札も同様に、1年間にわたって住まいと家族の厄災を引き受けてくださった御札は、年末年始や節分などの節目に新旧交代させるのが本義です。
厄除け札に関しては、厄年の期間(前厄・本厄・後厄)の祈願が終わったタイミング、あるいは満1年の満了をもって神社へお返しします。返納の際は、授かった神社の「古札納所(こさつおさめしょ)」へお持ちし、これまでの加護に対する感謝を込めて納めます。旅先など遠方の神社で受け取った御札については、郵送での返納を受け付けている社寺も多いほか、近隣の同じ祭神を祀る神社にお焚き上げを依頼することも可能です。ただし、「神社の御札は神社へ、お寺の御札はお寺へ」返納するという区別だけは厳格に守らなければなりません。