ここ1〜2年で急速に存在感を増しているのが、20代後半から30代前半の若手職人たちが手掛ける「ネオ江戸前」のスタイルだ。彼らは老舗で10年以上の修業を積みながらも、従来の徒弟制度の枠にとらわれない柔軟な発想を持つ。
赤酢の配合をミリグラム単位で微調整し、熟成魚のタンパク質分解を科学的にアプローチする店も珍しくない。伝統的なマグロやコハダの仕込みを完璧にこなしつつ、ハーブや香気成分をほのかに纏わせた独自の煮切り醤油を使うなど、一口ごとの驚きを追求している。客席との距離感もフランクで、一貫ごとに握りの意図や産地の物語を軽妙に語りかける姿が、新しい世代の食通たちの心を掴んで離さない。