事態が大きく動き始めたのは、今年初頭のことだ。ファンが自主的に投稿した数十秒のショート動画がTikTokやInstagramで瞬く間に拡散され、数億回を超える再生数を叩き出した。完璧に作り込まれた偶像ではなく、どこか隙があり親しみやすい表情や言動が、SNS世代のツボにハマったのだ。
ファンが自発的に二次創作を生み出し、それを公式が柔軟に取り入れて拡散していくサイクルが確立された。一見すると無作為に見える広がりだが、ファン一人ひとりが「自分が育てている」という当事者意識を持てる仕掛けが随所に施されている。このインタラクティブな距離感こそが、従来のキャラクタービジネスにはなかった熱狂を生む原動力となった。