「2歳で髪の毛が薄いから、一度坊主に剃り上げればしっかりした濃い毛が生えてくる」という話を年配世代や周囲から聞き、坊主を検討する保護者は少なくありません。しかし、小児皮膚科や毛髪科学の観点から言えば、坊主にしても毛量が増えたり髪質が太くなったりする医学的根拠は一切ありません。
毛髪の太さ、密度、くせ毛の度合いといった毛質は、毛根の奥深くにある毛母細胞と遺伝的要因、成長に伴うホルモンバランスによって決定されます。バリカンやハサミで皮膚表面の毛幹を切断しても、毛根の構造自体が変わることはありません。
それにもかかわらず「坊主にしたら髪質が濃くなった」と感じられる理由は、毛先と根元の断面積の違いにあります。赤ちゃんの産毛は先端に向かって細くなっていますが、バリカンで一律に刈り込むと、毛の最も太い断面が頭皮表面に露出します。その太い断面が一斉に伸び始めるため、視覚的・触覚的に「髪が硬く濃くなった」と錯覚するのです。2歳頃の薄毛は成長過程の個人差に過ぎず、3〜4歳にかけて自然に毛量が増加していくため、髪質改善のみを目的に無理に坊主へ踏み切る必要はありません。