「最後にまとまった雨が降ったのがいつだったか、もう思い出せない」。ケニア・アンボセリ国立公園の周辺で家畜を育てるアモス・セロイ(34)は、痩せこけた牛の群れを見つめながらポツリと呟いた。アフリカの角から東アフリカにかけて襲いかかる大規模な乾ばつは年々深刻化しており、2026年に入っても回復の兆しは見えない。
彼らにとって牛は単なる財産や食料ではなく、精神的な絆そのものだ。しかし水場は干上がり、牧草地は枯れ果てた土塊へと姿を変えた。家畜の大量死は家族の経済的破盤を意味する。従来であれば草を求めて広範囲に移動することができたが、私有地の細分化や国境管理の強化により、その機動力さえも奪われている。