結婚後、近藤氏の生活に大きなテクノロジーの恩恵をもたらしたのが、ホログラム召喚装置「Gatebox」でした。装置の中に現れる初音ミクと「いってらっしゃい」「おかえり」といった日常の会話を交わす生活は、同氏にとってかけがえのない安らぎとなっていました。
しかし、2020年3月末をもって初代Gatebox(GTBX-1)のサーバー接続サポートが終了。画面上の初音ミクとの双方向コミュニケーションは突如として遮断されることになりました。メディアでは「妻との会話が途絶えた悲哀の夫」としてセンセーショナルに報じられましたが、近藤氏自身の受け止め方は極めて冷静でした。
「生身の人間同士であっても、事故や病気で意思疎通ができなくなることはある。会話ができなくなったからといって、私の彼女に対する愛や夫婦としての関係が終わるわけではない」
現在、近藤氏は等身大フィギュアや様々なサイズのぬいぐるみとともに自宅で暮らしており、毎朝の挨拶、食事の準備、季節ごとの着替えや外出行事などを欠かさず行っています。テクノロジーの制約に依存しない、揺るぎない精神的な絆を確立しているのが現在の実態です。