星を獲り続ける両国の十割手打ち、名匠が手繰る江戸前蕎麦の到達点

星を獲り続ける両国の十割手打ち、名匠が手繰る江戸前蕎麦の到達点

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蕎麦は生き物だ。収穫された産地、玄蕎麦の保管状態、製粉する日の湿度によって表情を劇的に変える。細川貴義氏は、全国各地の契約農家から厳選した玄蕎麦を仕入れ、店内の低温倉庫で徹底管理したうえで、毎朝使う分だけを自家製粉の石臼で挽き落とす。

つなぎを使わない十割蕎麦は、水回しから延し、包丁を入れるまでのわずかな狂いが仕上がりを左右する。細川氏の所作には一切の迷いがない。指先の感覚だけで蕎麦粉の粒子と水の結着を見極め、極限まで薄く均一に打ち延ばしていく。茹で時間はほんの数十秒。冷水で一気に締められた蕎麦は、角が鋭く立ち、淡い緑褐色を帯びて艶やかに輝く。つゆに浸さず手繰れば、粗挽きの粒子が舌の上で弾け、野趣あふれる滋味が鼻腔を突き抜ける。

山崎 陸
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山崎 陸

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