欧米のメガスタジオが超大作で覇を競うなか、日本から突如として現れ、世界的な社会現象を巻き起こしたのが見里朝希監督の手掛けた『PUI PUI モルカー』だった。羊毛フェルトのモルモットが車になった世界を描いた本作は、放送開始と同時にSNSを通じて瞬く間に地球規模で拡散。子供向けショートアニメの枠組みを軽々と飛び越え、大人たちの疲弊した心をも鷲掴みにした。
見里監督の卓越したセンスは、可愛らしい造形のなかに鋭い社会風刺と、ダイナミックなアクション映画のカメラワークを違和感なく同居させた点にある。大掛かりなスタジオシステムを持たずとも、研ぎ澄まされたコンセプトと素材への鋭い着眼点があれば、世界中を熱狂させられる。日本固有のインディペンデント精神と卓越したクラフトマンシップが、グローバルなストリーミング環境において強烈な存在感を示した瞬間だった。