警視庁捜査二課の深層|一課との違いや知能犯を追うエリートの真実

警視庁捜査二課の深層|一課との違いや知能犯を追うエリートの真実

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刑事ドラマの影響で「刑事=殺人犯を追う捜査一課」というイメージが定着していますが、警察内部における警視庁捜査一課と捜査二課の決定的な違いは、捜査の起点と求められる資質にあります。

捜査一課が扱う強行犯捜査は、殺人、強盗、放火、誘拐など「すでに発生し、被害が明白な事件」が対象です。被害者の無念を晴らすため、足を使った聞き込みや鑑識活動、初動の包囲網で犯人を追い詰める、いわば瞬発力と現場の直感が問われる世界です。

これに対し、捜査二課が立ち向かうのは知能犯・汚職事件の真相です。贈収賄、背任、横領、脱税、選挙違反、そして組織的な詐欺事件など、多くの場合は被害者自身が被害に気づいていないか、あるいは当事者同士が口裏を合わせて隠蔽しています。何もない白紙の状態から、関係者の証言の食い違いや資金移動の不自然さを炙り出し、「事件そのものを掘り起こして創り出す(立件する)」ことこそが二課の真髄です。

項目警視庁捜査二課(知能犯捜査)警視庁捜査一課(強行犯捜査)捜査現場における実態と評価主たる捜査対象贈収賄、選挙違反、背任、横領、大型詐欺、通貨偽造、マネロン殺人、強盗、不同意性交、放火、誘拐、人質立てこもり二課は「経済・権力犯罪」、一課は「生命・身体への危害」に対峙する。捜査の起点端緒情報、内部告発、金融データの不審な動きによる「内偵」110番通報、遺体発見、被害届の提出などの「事件発生」二課は事件化するまで数カ月〜数年の長期内偵を水面下で進める。主な証拠物件預金通帳、会計伝票、契約書、電子メール、暗号資産の台帳データ凶器、DNA、血痕、指紋、防犯カメラ映像、目撃証言二課は「紙と電子データの山」を解読し、資金の流れ(筋道)を立証する。要求される専門スキル財務・会計知識、会社法・公選法等の法的解釈、心理的誘導・取調べ力鑑識眼、張り込み・追尾の持久力、現場観察力、格闘能力二課員は「公認会計士並みの帳簿読解力」と緻密な論理構築が必須。対外的な機密性極めて高い(情報漏洩が株価や政治情勢に直結するため)公開捜査や報道協定など、メディアを巻き込んだ情報収集も多い二課の捜査着手は「朝の強制捜査(ガサ入れ)」で初めて世に知られる。

刑事たちの間では「一課の刑事は靴底を減らし、二課の刑事は目を潰す(膨大な書類の文字を読み続けるため)」という比喩が語り継がれています。事件の兆候を嗅ぎ取り、誰にも悟られずに証拠を積み上げる二課の職人芸は、まさに警察組織における最高峰の知的重労働といえます。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。