玉井夕海の表現者としての原点は、驚くほど多層的です。東京都世田谷区に生まれ、1977年8月6日生まれの彼女は、名門・東京藝術大学美術学部建築科に進学するという異色の学歴を持ちます。しかし、既存の枠組みに収まることなく同大学を中退し、身体表現や音楽、演劇のフィールドへと身を投じました。
彼女のキャリアを語る上で欠かせないのが、世界的な前衛ジャズ・オーケストラ「渋さ知らズ」への参加です。圧倒的なエネルギーとカオスが渦巻くステージで、ヴォーカルやパフォーマーとしてイギリスのグラストンベリー・フェスティバルをはじめとする国内外の巨大フェスに出演。巨大な観客を前に身体一つで声を響かせる過酷な現場を経験したことが、彼女の芯の太い表現力を決定づけました。
さらに2006年には、長崎県天草を舞台にした映画『もんしぇん』(山本草介監督)で主演を務めただけでなく、原案、共同脚本、音楽監督まで兼任。映画と音楽が有機的に融合したこの作品は、国内外の映画祭で高い評価を受け、単なる「出演者」にとどまらない総合的なクリエイターとしての才能を世に知らしめました。