プロの厨房で実践されている、食感を損なわずに水分を抜き去るアプローチは大きく分けて2つあります。「物理的な種の除去」と「適切な塩分濃度による脱水」です。この2工程を丁寧に行うだけで、仕上がりのクオリティは別次元へと進化します。
第1のポイントは、きゅうりの中央に位置する「種(ゼリー状の部分)」の扱いです。きゅうりの中で最も水分含有率が高く組織が脆いのがこの種周辺であり、調味料の水分を吸って最も早く崩れる箇所でもあります。きゅうりを縦半分にカットした後、小さじスプーンを使って中央の種をスーッと軽く削ぎ落とすだけで、離水リスクの約40%を物理的にカットできます。
第2のポイントは、適正な塩もみです。きゅうり1本(約100g)に対して使用する塩の量は小さじ1/3(約1.5〜2.0g)が鉄則です。塩分濃度が高すぎると塩辛さが残り、低すぎると細胞膜から水分が抜けません。塩を振って軽く揉み込んだら、5〜8分放置します。汗をかいたように水分が浮き出たら、清潔なキッチンペーパーに包んで両手でギュッと絞り込みます。手で雑に握り潰すと細胞壁が破壊されて食感がフニャフニャになるため、「ペーパー越しに面で圧力をかける」のがプロの仕込みの流儀です。
また、包丁で切るのではなくすりこぎ等で叩いて割るたたききゅうり梅肉和えを作る場合も注意が必要です。叩きすぎると断面が崩れて余計な離水を招くため、麺棒で「2〜3箇所亀裂を入れる程度」に留め、あとは手で一口大に裂くのが、心地よい乱断面とシャキシャキ感を両立させる秘訣となります。