今回のトラック陥没事故の原因として、最も根深い構造問題が下水道管の老朽化です。国土交通省の統計によると、日本全国の下水道管路の総延長は約49万キロメートルに達し、そのうち標準的な耐用年数である50年を経過した管路は年々急増しています。2020年代後半には全国の管路の2割以上が耐用年数を超える計算となり、更新工事のスピードが経年劣化の速度に追いついていません。
さらに、老朽管の腐食を加速させているのが「硫化水素」による化学的浸食です。下水に含まれる有機物が嫌気性細菌によって分解されると硫化水素が発生し、これがコンクリート上部で硫酸へと変化して管の天井部をボロボロに溶かします。強度が落ちた管が土圧に耐えきれず破損し、地下水とともに周囲の土砂を吸い込み続けることで、地表からは見えない「空洞」が拡大していくのです。
路面下空洞探査車による電磁波レーダー調査などの対策も行われていますが、現在の探査技術にも限界があります。レーダーが検知できる深度は通常1.5mから2m程度であり、それより深い位置に存在する空洞や、鉄筋や他の埋設管が密集する都市部の地下では、反射波の乱れによって空洞の特定が困難になるケースが少なくありません。今回の現場も、点検の死角となっていた深層部で長年かけて空洞が発達していた可能性が濃厚です。