若き日の彼は、感情を前面に押し出すエネルギッシュなスタイルで知られていた。コート上に響き渡る声、一球ごとに全身で表現する感情の爆発。それはいまも彼の代名詞だが、現在の戦いぶりには決定的な「静」の領域が加わっている。
勝負の岐路に立ったとき、あるいは相手が勢いに乗る局面で、驚くほど冷静にコート全体を俯瞰する姿が目立つようになった。ポイント間の数秒間で呼吸を整え、相手の目線や足の動きから次の戦術を読み切る。感情のボルテージをコントロールし、必要な瞬間にだけ爆発させるメンタルマネジメントの確立。かつての怪童は、真の勝負師へと変貌を遂げたのだ。