人物ドキュメンタリー・調査報道の手法を用いて猪口家を古くから知る知人や研究仲間に話を聞くと、一様に返ってくるのは「互いを深く敬愛し合う稀に見る温かな家庭だった」という言葉である。
多忙を極める公務の合間を縫って娘たちの学校行事に駆けつけていた母の姿や、休日に娘たちと熱心に読書談義を交わしていた父の姿。そこにあったのは、世間の名声とは切り離された、一人の人間としての親子の確かな営みであった。周囲の証言を丁寧に積み重ねていくことで、報道の表層的な見出しだけでは捉えきれない、高潔で愛情深い一家の真実の輪郭が浮き彫りになる。