日本の実写映画が世界的評価を完全に取り戻す契機となったのが、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』である。国際長編映画賞の受賞にとどまらず、作品賞や監督賞、脚色賞といった主要4部門にノミネートされるという歴史的快挙を成し遂げた。
村上春樹の短編小説を原案とした本作は、3時間という長尺でありながら、観客を静謐な物語の世界へと引き込み続けた。濱口竜介監督が用いた独自の演出手法—俳優たちに感情を込めずに本読みを繰り返させるアプローチ—は、映画界で大きな注目を集め、演技の本質を追求するハリウッドの俳優や監督たちから熱烈な支持を獲得した。
この作品の成功により、「日本の実写映画はローカルな市場にとどまる」という長年の固定観念が完全に打ち砕かれた。世界基準の作品制作と、言語の垣根を越えた人間性の描写が結実した『ドライブ・マイ・カー』は、後続の日本人監督たちにとって世界市場へ躍り出るための確かな道標となっている。